篳篥(ひちりき)奏者にとって盧舌(ろぜつ)は消耗品です。
洋楽器のオーボエやファゴットと同様にダブルリードの管楽器である篳篥は、盧舌ひとつ、またセメひとつ変わるだけで違う楽器かと思うほど音色が変わってしまいます。
ですが、葦を薄く削って作る盧舌は、使用しているうちに徐々に思い通りの音色が出なくなってきたり、ひびや割れが生じてきます。また、壊れていなくても温度や湿度の違いで音色が変わってしまうこともあります。
そのような事情から、篳篥奏者はいつも予備の盧舌を用意して演奏に臨みます。
今日は雨の日曜日ですので、朝から盧舌作りをしました。

3年以上乾燥させ、煤かけした葦(よし)を約6.5cmぐらいに切っていきます。
私には残念ながら違いが分かりませんが、一般的に大阪・高槻市の鵜殿の葦が良いと言われています。

葦を6.5cmに切断したら、内側をきれいに掃除します。

2.5cm~3cmぐらいの幅にカットした図紙(和紙)にでんぷんのりを塗り、カットした葦の前方(吹き口になる方)に1周巻き、1日乾かします。


ひしぎ鏝を水につけて「ジュッ」という音が出るまで熱します。こだわる方は炭火を使われますが、私はカセットコンロを使っています。

図紙を巻いた葦をいったん水に漬けた後、熱したひしぎ鏝で挟み、葦の反対側に栓をします。

炎を弱火にし、熱で情景が揺らめいて見えるぐらいの高さで葦を炙ります。この時、ひしぎ鏝をぐるぐると手で回し、熱が一か所だけではなく全体に当たるようにします。
反対側の口に栓がしてあるため、葦の内側で沸騰して水蒸気となった水分によって、力を入れなくても自然に葦がひしいでいきます。

上手くひしぐことができたら栓を外し、葦を乾燥させます。この時、栓を取った口から水蒸気が立ち上ります。

盧舌を篳篥に挿入する際に図紙を巻く部分にヤスリで筋を入れます。外側の筋は、そこから先を薄く一周削り、細めの幅の図紙を一周か二周巻き、上に巻く図紙がずれないようにするための目安です。

中央寄りにつけた目安の筋から先を繰小刀で削り、形を整えていきます。時々葦を触って、薄さや面状態を確認します。
整形する際は鉛筆を削ったり彫刻をする要領で削りますが、表面を整える時は小刀を垂直に立てた状態で横に滑らせて削っていきます。このような使い方をすると刃をすぐに研がなければいけなくなるので、私は切るための小刀と、立てて削るための小刀を使い分けています。

吹き口からはめ込んだセメがずれてしまわないよう段差をつけますので、やすりで段差の目印をつけます。

セメ止めの段差から先を慎重に削って形を整えます。吹き口の角を軽く落とし、ヤスリやサンドペーパーで仕上げをして、盧舌の完成です。

これで盧舌のカタチにはなりましたが、この後は実際に鳴らして音を確かめながら音を調整していきます。このような作業を「舌を育てる」と呼んでいる人もいます。


